ゲームレビュー「ミラノのアルバイトこれくしょん」(PS/Westone)
「一見の価値有り」という言葉がある。直訳(?)すれば「一目見るに値する」という意味になる。これから紹介する作品は正に「一目見るに値する」ソフトである。客観的に万人に薦められるものではないが、一度は目を通しておくべきソフトであると私は信じる。
ミラノは11歳の女の子。これから待ちに待った夏休み。
ところが、突然ママが入院する事を聞かされる、主人公のミラノ。
え〜!と驚いたのもつかの間、実はパパも仕事が忙しくてかまってられないという理由から、親戚のオジサンの所で世話になれと言われます。
ええ〜〜!・・・で、オジサンの家へ行ってみると、なんとオジサンまで不在。
えええ〜〜〜!これからどうしたらいいの〜〜〜!??
・・・そうだ、アルバイトしよう♪
これがストーリーである。ミラノのママが退院するまで40日間の間、皿洗いや乳搾りなど、全部で9種類のアルバイトを行い、その報酬でお金を貯める。
時にはお勉強や料理をしてミラノのパラメータを高めたり(パラメータが高いとアルバイトの報酬が増えやすい)、貯めたお金で自分の好きな家具や小物を買って、ミラノのおうち(とはいっても元はおじさんの家だが)を自由にコーディネートできるというもの。用はアレだ、女の子がやるお人形さん遊びやままごとみたいなものだ。
以上。こうしろ、ああしろという明確な目的はない。ひたすら料理や掃除洗濯と、家事(ままごと)に没頭してもいいし、アルバイト(ミニゲーム)を極めてもいい。明らかにターゲットは小さな子供向け、しかもどちらかといえば女の子向けだ。大人の視点から見るとひたすら地味で味気ないゲームかもしれない。
だが、このソフトが秘めているポテンシャルはそんな子供達のためにあるわけではない。
本作は全編2Dバリバリのドット絵である。
このドット絵が、子供だけ楽しむには勿体無いくらいの素晴らしい出来なのだ。特に主人公であるミラノの描きこみようは半端じゃない。単に滑らかに動いているだけではないのだ。「可愛く」(←これ重要)滑らかに動いているのだ。
ミニゲームのアルバイトに主眼が置かれていそうだが、そんなことはない。むしろアルバイトを終えて家に帰ってきてからがこのゲームの本領発揮である。
アルバイトが終わってから寝る時間まではミラノの自由時間となる。要はミラノのパラメータを上げる育成パートみたいなものなのだが、この自由時間こそミラノの魅力がたっぷり詰まったお楽しみタイムだ。こればかりはもう実際に見て納得してもらうしかない。
個人的にあえてピックアップするとすれば、風呂上りにバスタオルで頭拭き拭きしながら寝室へ向かうミラノにうっとりし、ふわりと毛布を翻させてベッドに横になるミラノにニヤリとし、飼い猫のペペローニャの食事を見守るミラノの表情に溶かしつくされそうになる。プレイした人だけ共感して欲しい。
まさにドット絵の教科書、ドット絵のお手本といった趣がある本作。とりあえずミラノに洗濯をさせてみれば、このゲームの凄さが理解していただけると思う。職人芸というのはこういうことを言うのだろう。「ミラノのドット絵鑑賞会」と言った方が本当のタイトルとしてふさわしいかもしれない。
確かにアルバイトのミニゲームだけでは物足りないかもしれない。このゲーム本来の目的である「自分の家を素敵にコーディネート!」とか、「ミラノと一緒にいろんなアルバイトを楽しんじゃおう!」といった部分にあまりセールスポイントはない。だが、それだけで終わるにはあまりに勿体無い作品である。
「ミラノ」のゲームの内容について過度な期待をしてもらっても困るが、一つ一つ丁寧に打ち込まれたドット絵技術の素晴らしさだけは保障しよう。ドット絵の出来がいいから買え!と薦めるつもりは毛頭ないが、こういう作品もあるということだけは覚えていてもらいたい。
これから先、何年経ってもミラノがもつドット絵の素晴らしさはきっと色あせる事はないだろう。それは、昔の映画が古典と言われようとも、たくさんの人から愛されているように、素晴らしい作品はたとえ手法が古くても、その作品がもつ輝きが古くなることはないのである。
きっと自分はまた何年後かにはミラノを引っ張り出して遊ぶことだろう。そして、再び確認するのだ。相も変わらず風呂上りにバスタオルで頭を拭き拭きしながら寝室へ向かうミラノの姿にうっとりとしてしまうことを。
- [2007/06/30 13:19]
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